わたしたちが住むのは、グローバリゼーションの進展によって地球上のあらゆる人々が政治・経済・社会・文化の面で意識的・無意識的に緊密につながった世界です。しかも、このグローバル社会は、多岐にわたる難しい課題に直面しています。たとえば、国家間対立の激化(米中対立、ロシアと欧米諸国の対立など)、核軍縮の停滞、武力紛争の多発、民主主義の後退、基本的人権の侵害、難民の大量発生、ジェンダー差別、感染症のグローバルな拡大、地球規模の食糧危機・環境問題・貧困などです。なかでも、ロシア・ウクライナ戦争の激化にともなう核戦争の可能性、地球温暖化の長期的影響、次のパンデミックの脅威は、人類の存続にも直結しかねない重大な問題です。国際関係論(International Relations)は、これらの難問に真正面から取り組むことで、現代のグローバル社会における対立と協調、戦争と平和、秩序と正義を考究する実に知的刺激に満ちた学問です。