行動経済学
行動経済学の講義では、現実の人がどのように選択しているのかを学びます。従来の経済学では、人は常に自分にとって最も望ましい選択を行うという前提で考えられていました。しかし、実際には課題を締め切り直前まで放置したり、衝動買いをして無駄遣いしたり、目の前のケーキに負けてダイエットを挫折したりと、後悔するような選択をしがちです。こうした選択が積み重なることで、老後の資金不足や生活習慣病、環境問題など、さまざまな社会問題が引き起こされています。なぜ人は合理的な選択ができないのか、そのとき人は何を考えて選択しているのか。これらを、経済学に心理学的アプローチを取り入れた行動経済学を通じて学んでいきます。講義では毎回、学生に簡単な実験を体験してもらうことで、人の選択が必ずしも合理的ではないことを実感してもらっています。これにより、講義の内容が自分自身に直接関わるものであること、ひいては社会問題が自身の生活の延長線上にあることを意識してもらえるよう心がけています。